介護の経験がないので、介護疲れで事件までなってしまうの?と思ってしまいます、、、
そうね!実際、経験してみないと分からないことが多いよね!
介護の現場で働いている人が事件を起こすに至るまでに、どのような心情の変化があるのでしょうか?
さまざまなきっかけがあると思うんだけど、今日は、そのあたりについて心理学的なアプローチをしますね!
介護殺人と言われるものは年間40件くらいあると言われています。
統計に出ないだけで実はもっと多いともいわれています。
殺人だけではなく自殺も多いです。
殺人にまでは至らなくても、傷害事件となったものもあります。介護疲れが原因の事件は減っていないにも関わらず、防止対策は不十分です。
制度の問題
昔ある大臣が「介護保険などできたら、家族が介護をするという日本の美徳をこわしてしまう」という発言をしたそうですが、制度を作る側がこの意識から本当に脱却できているのでしょうか。
認知症高齢者もいろんなタイプがあります。
ただ忘れていくだけで、穏やかに笑っている人はいいですが、歩き回ってしまう人もいます。
自制心が聞かなくなりますから、大声を上げる人もいますし、他者をたたこうとしてしまう人もいます。
職員にとって手のかからない人ならば歓迎してくれますが、手がかかる人になると
「他の利用者の安全もありますので」
「ずっとついているわけにはいかないので」
と利用を断られるが、制限されてしまうことがあります。
介護のプロがみられないものをどうやって介護について素人の家族がみるのか、と思います。
家族だって生活していかないといけないので仕事だってやめられないです。
とはいえ、施設側の都合もわかります。
そもそも人手が足りません。
福祉の現場で一番深刻な問題の一つは職員が集まらないことです。施設側だって家族が困るのはわかっていますが、働く人の数に応じたことしかできないのです。
しかも他の利用者に何かあれば責められるのは施設です。
この問題の困ったところは、じゃあどうすればいいのかに対し答えがない場合が少なくないことです。
結果的に家族は精神的に追い詰められてしまいます。
本人と家族の問題
どうしても自分のやり方につよくこだわる方がいます。
知らない人たちと一緒になど過ごしたくない、子どもは自分のために動いてくれて当たり前、そうやって生きてきた人がいます。
ですから家族がどんなに進めても、デイサービスは利用しません。
入浴の手伝いも、慣れた子どもからしか手伝ってもらいたくないのです。
子どもには子どもの生活があるなんて配慮はできません。
子どもが従順なうちはそれでもいいですが、負担が一定のレベルを超えると、子どもだって親の聞いていばかりはいられません。
妻が要介護状態となり家事ができなくなると夫が慣れない家事をがんばります。
それだけでも大変なのに、妻が自分のやってきたやり方を強要したらどうなるか、です。
こんな味付けじゃいけない、こんな漬物の切り方じゃいけない、こんな洗濯物のたたみ方じゃいけないといちいち言われたら、いつかは追い詰められてしまいます。
お金の問題
介護をする側がいろいろな理由で、「もう限界」となるときはあるでしょう。
トイレの場所がわからなくなったからと24時間みているわけにはいかないし、散歩に出たら迷子になるからと、閉じ込めておくわけにもいきません。
そういうわけで施設に入ってもらおう、となったとしても、施設はただでは入れません。
高齢者の方が若かった頃、今のような長寿社会になるなんて思っていませんから、働いていたにも関わらず、年金があまりもらえない人もいます。
施設入所の相談がくると、言いにくことを承知でケアマネジャーは聞いてきます。
「いくらまでなら施設入所のために使えますか?」
ケアマネジャーも聞きたくて聞いているわけではないですが、この質問から入らざるを得ないのが施設入所の現実です。
払える金額が少なければ、入所可能な施設は限られてしまいます。
すぐに施設がみつからなければ、家で介護を続けるしかありません。
施設がいつ空くかなんて誰にも分りません。
人はゴールが見えないことにいつまでも耐えられるほど強くはないです。
まとめ
介護疲れで事件が起こらないようにするためには、介護に疲れ果てる状況を作らないしかないです。
ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください、とよく言われますし、それも大事です。
ただそれで何とかできるケースではないから事件につながるのです。
お金があまり払えなくても何とかなる制度を作る、もっと柔軟にデイやヘルパーを使えるようにする、そもそも福祉業界の人手不足を解決する、本気で介護疲れで事件が起きる状況に追い込まないためにできることはあると思います。
その他、どうしても疲れて、追い詰められる前に、自分の人生を大切にしてください。
これはそんな簡単にできることではないかもしれないです。
でも、誰よりも、自分のことを自分が大切にしてください。
あなた以上に、あなたを大切にできる人はいないのです。